リレーエッセイ12月

うきうき♪バスツアー   山部見季

 普通バスツアーと言えば、温泉に入ったり、お土産工場に立ち寄ったりして、朝早くからたっぷり1日かけて出かけるもの。のんびりしていていいなぁと思うけれど、日々忙しいアラフィフの私たちにそんな時間はありません。そこで10月中旬の少しだけ過ごしやすくなった頃、私たち中学生の頃からの仲良し3人は、路線バスを使ってバスツアーを開催。目的地は熊本市東区の、車で行けばたった15分ほどのカジュアルフレンチのお店です。
 都市バス昭和町線の始発は上熊本駅、まずはMちゃんが11時20分に乗車。早速、無事乗ったよ!とのLINEを受け取り、12分後には私、またその9分後にはYちゃんが乗り一番後ろの席に3人並ぶと、うきうき度はMAX!目指すは「ボナミ」=「良き友」という意味の店名に「私たちにぴったり!」とかしましい。みんながバスに揃った14分後にはボナミの目の前にある自衛隊前のバス停に到着。しっかり者のYちゃんが居なかったら危うく乗り過ごしてしまいそうになりながら、無事店のドアを開けました。
 そもそも、車ではなくバスで行く目的はランチワインセットをいただくため。この店にはワインセット以外に、お料理に合わせた冷たいお茶を美しいワイングラスに注ぎ、3杯セットで出してくださるランチティーセットがあり、以前車で行ったときには美味しいお茶とランチに感激したのだけれど、向こうのお席で泡→白→赤と進むグループを見て、いつかはきっと私もボナミの美味しいお料理をワインで!と憧れていたのです。
 早速、大柄でフランス人みたいなソムリエの方に「バスでいらっしゃるなんて、今日は召し上がりますね」と歓迎され、鴨がメインのランチコースにランチワインセットをオーダーしました。お料理は、小さな前菜から、お飲み物はスパークリングワインから始まります。次に人参のソースのサラダがサーブされた頃から白ワインを。けれども、お魚料理に進む前に白ワインを飲んでしまい、まだ赤ワインには早すぎるタイミングで「もう少し白はいかがですか?」とフランス人みたいなソムリエの方に勧められ、あとはいつの間にかお魚料理を食べ終わるまで白を次々。メインの鴨に進むときには、はじめから「軽い赤から入りましょう」と赤も1種類ではない前提のオススメで重めの赤に入り、最後のお料理は濃厚なリゾット。そしてシャインマスカットのデザートとコーヒーで大満足のお食事ができました。まさかランチワインセットを逸脱して、更にワインをいただくなんて思ってもみなかった私たちですが、その後お会計ではじめて、ワインセットを2セット+1杯=7杯もいただいていたことに気がついたのです!「ランチワインで1杯の量が少なめだったよね?」なんて飲み過ぎの自分たちを慰め合い、楽しい楽しいランチは終わりました。
 それから、お隣にあるスーパーに寄り、それぞれ夕食の買い物を済ませて、スーパーの向こう隣にあるカフェへ。ハンドドリップの美味しいコーヒーでゆっくりお喋りを続け、また路線バスに乗り帰路につきました。
 きっと、それぞれ何食わぬ顔で家に戻ると、その日の家事をして、詳しいことは?家族には一言もお話しなかったかしら。気の置けない友人との楽しい時間で元気をチャージ。
さあ、2回目のバスツアーはどこにしましょうか?