リレーエッセイ9月
大切なご縁 安本ゆか
これまでの人生でたくさんの出会いと別れを経験してきました。
先日は高校時代の恩師の10周忌でしたので、先生との思い出をご紹介させていただきます。
中学の音楽教諭より「声が良いから九女の芸術コースを受けてみたら?」と言われ、好奇心旺盛な私は、両親に「九女の芸術コースに行って、音大に行きたい!!」と直談判しました。
それまで本格的な音楽のレッスンや勉強はしていなかったので、両親には猛反対をされましたが、私の想いの強さに最後は「藝大にしか行かせないから!」という約束で受験する権利を得ることができました。
(正直、藝大がどんな大学なのか、この時わかっていませんでした。)
そんな中で私が初めて恩師と出会ったのが受験での実技試験と面接の時でした。
実技はまだ怖いもの知らずだったので伸び伸び歌うことができましたが、面接では厳しい言葉ばかりが飛び交いました。「これはダメなのかも…」と思いましたが、なんとか合格をすることができました。
卒業後に先生から「素人すぎて落とすか悩んだけど、とにかく体型が歌向きで声量もあったから可能性にかけてみた」というお言葉をいただきました。あの時、先生が拾ってくれたから音楽で素晴らしい経験が出来たんだと感謝しかありません。
小澤征爾指揮 喜歌劇「こうもり」出演
高校生活では先生方の音楽に対する素晴らしい想いに触れ、本当に夢中になって音楽に浸っていました。
そして両親との約束だった藝大に関しても「無理だ!」と決めつけずに、良いところを伸ばして、私が興味や好奇心が湧くような指導をしてくださいました。言葉で伝えるのは難しいですが、あの日々があったから藝大に合格をすることが出来ました。
先生との出会いによって、私の人生が大きく動いただけでなく、人としても大きな成長をすることが出来たと確信しています。
恩師の10周忌
人生のビジョン
「みんなが笑顔になる きっかけを創る」
この言葉を胸に、先生が私を動かしてくれたように、私にとって大切な方の未来が笑顔溢れるものになるよう、出会いを大切に過ごしていきたいと思います。