リレーエッセイ2月
古希の舞台 篠原眞砂子
昨年暮れの21日、熊本城ホール(シビックホール)で、所属するオペラ団体テアトロリリカ熊本の本公演に8年ぶりに出演した。
クリスマス公演と言うことで、1幕は「マッチ売りの少女」を少々ディフォルメしたオペレッタ。私は聖歌隊の先生の役で、30人のワークショップの子供達を引き連れて歌と演技、はたまたダンスも踊る羽目になってしまった。「セリフはほんの一言ですから軽い気持ちで出て下さい。」と言われ出演の承諾をしたものの、稽古がスタートしたら演出家の先生から、次から次にセリフと演技の追加注文があり、まさかこんなはずではなかったと思いながら演じた舞台であった。
1幕「マッチ売りの少女」は、約4ヶ月間演技とセリフの立ち稽古を、繰り返し繰り返し行った。2幕のプッチーニ作曲「グローリア・ミサ」は全編47分間ぶっ続けの混声合唱である。リリカ合唱団は練習を約1年間行った。
さて、舞台の季節設定は真冬である。自前の衣装は長袖のドレスに手袋と帽子、おまけに毛皮のケープまで首に巻いての出演となった。しかし場内は暖房で暖かく、おまけに舞台は強いライティングで気温が上がり、私のドレスの中は汗でびっしょり。おまけに、ロングドレスのスカートの裾は子供達に踏まれたり何かに引っ掛けたりで私の体力は徐々に消耗されて行き、1幕終了を知らせる教会の鐘の音でよろけながら退場した次第ある。まさしく老体にむち打っての出演となったが・・・・・
今、このエッセーを書きながら、昨年の古希を振り返っている。いろんな事があった1年の中でも、リリカの舞台は確かに大変ではあったが、私に活力と絶大な達成感を与えてくれた。
継続は力なり、これからも体力の続く限り歌のレッスンにお茶のお稽古、そして転倒防止対策としての筋肉トレーニングは続けて行こうと改めて心に誓った次第である。