リレーエッセイ1月

日本の子どもの幸福度   世良喜久子

先進国のこどもについての調査(ユニセフ・イノチェンティ レポートカード16,2020年)を見ると日本の子どもの「精神的幸福度」は世界38ヶ国中、37位という状況に驚きを隠せませんでした。健康的視点、学力等で世界のトップクラスである日本のこどもたちがなぜ幸福度が低いのかとても気になるところです。
ユニセフは第二次大戦後初めての国連総会で敗戦国の子どもたちへの緊急支援という事で創設されましたがその後も未来を担う世界の子どもたちが能力を伸ばして健やかに育つようにと1989年子どもの権利条約が国連総会で採択されそれに基づいての活動を展開しているところです。
その様な状況の中なぜ日本のこどもたちの「精神的幸福度」がなぜ低いのかNPO[人間の安全保障]フォーラムや尾木直樹先生のコメントなどの社会的状況からその要因を考えると学校での「競争原理による一斉主義」が第一番目に挙げられるようです。学校での評価が試験の点数や偏差値だけを重視する競争的な教育環境の中でストレスを感じている子どもが沢山いること、それはストレスを抱えた子どもの心や体の発達に様々なかたちで影響を及ぼすことがあると考えられています。
次に「いじめの問題」で煩雑にいじめられている子どもの精神的ストレスは多大なものがあり、日本の子どもの8割がいじめの被害を経験しているといわれています。また「子どもの家庭の経済状況」も大きく影響しているようです。2021年度いじめの認知件数は小中学校で60数万件に及ぶといわれています。学校での競争原理による一斉主義がいじめにも大きく影響しているのではないかと案じられます。
貧困等の「格差」についても日本は41ヶ国中32位という状況で先進諸国の中で、日本は国内での格差が大きい国の一つであることを改めて認識しました。日本の子どもの幸福度を上げるために最も幸福度が低い状況に置かれている格差の底辺にいる子どもたちとその家族の状況を改善することが「幸福度」を上げる大きな改善策ではないかと思いました。いじめにあいやすい貧困世帯のこどもや一番底辺にいる人々の状況を改善し、格差を縮小する努力を地域社会で考えることがとても大切だと改めて思いました。テレビや新聞等で。周囲を見回すと不登校、虐待、差別、若者の自殺等課題満載の日本の状況です。
この状況の解決の糸口として一人一人が自己肯定感を持った日本の子どもの育成が必須の事と思います。その自己肯定感は子ども一人一人が学校や地域で子どもの権利を学び身に着けていくことが第一歩ではないかと改めて思っているところです。
今日本は世界の中で様々な場面で。差をつけられ既に以前の日本ではありません。資源がない日本では未来を担う子どもたちが何よりの宝です。これから自己肯定感を持った日本のこどもたちの育成が精神的幸福度を上げる唯一の方法であり日本が世界の中で存在感がある日本であるための大切な要因ではないでしょうか。そのような視点からソロプチミストが目指す女性と子どもの支援は問題解決のための大切な活動の一つであると改めて思いました。