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 リレーエッセイ

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すみれメンバーが毎月交替で執筆します

帽子
平成25年1月  
園田千紀子  
  
 8月の日曜日、二女の学生生活最後のバドミントンの試合を見に、岡山に行くことになった。岡山へは5年前、母と妹夫婦の4人で出かけたことがある。岡山城、後楽園を回り、倉敷に一泊、妹の手配で楽しく2日間を過ごした。ところが、帰りの岡山駅で、母が帽子がないと言い出した。どこで失くしたのやら…  お気に入りの帽子だけど、諦めて帰るしかなかった。私は、新幹線の中でそんな思い出を話しながら、夫と岡山へ向かった。

 試合会場で、二女やその友人たちに再会。体育館は学生たちであふれんばかりであった。二女の第一試合が始まった。親としてはハラハラドキドキであったが、無事勝利してくれた。喜びの顔を見る事が出来た私たちはもうこれで満足と会場を後にした。

 せっかくやって来たのだからと、岡山城と後楽園を回ることにした。夫は20年ぶりだったが、前回の印象とはまた違った良さが感じられて満足の様子だった。再び新幹線に乗り、夜9時ごろに帰宅した。その時気がついた。私の帽子がない事に…  まあ、私も?「おばあちゃんのいたずらかな?」と言うと長女はすぐに「おばあちゃんはそんな意地悪をする人じゃないよ」と答えた。

 母がいる頃はそんなことは思わなかったが、母のうっかりやさんなところを私は受け継いでいるのかもしれない。愛用の帽子を失くしてしまったが、母と私の帽子が今も共に岡山にあると思うとちょっと楽しく思える。
   






              
   
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