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リレーエッセイ |
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すみれメンバーが毎月交替で執筆します |
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平成21年6月
武末 優子 |
ミミズの這うような字を書いていた私が、せめて芳名帳にすらすらと筆字で書けるようにと習い始めた書が、もう、かれこれ十年以上経つ。よく続いたものだ?と我ながら感心している。良き師と、良き仲間に恵まれた。何よりも二年に一度やってくる『墨のアート展』 そう!この作品展が、飽きっぽい性格を継続の道へと、いざなってくれた。そして作品作りの制作意欲を大いに奮い立たせてくれた。そこで出会った一字書の迫力とその魅力。静と動のバランス。無から有にしていく、紙質、表現力の面白さ!
先ず、小さな硯に水を張り次に墨をおろす、すると何とも言えない墨の香りが何もかも包み込んでくれそうな、なつかしくもあり、やさしい香りが全身全霊を癒してくれる。その香りの中で、アート展のための好きな字を考える。探す。さらに書きやすそうで、まとまりやすい字を絞り込む。「よし、準備OK」いよいよ作品作りとなる。
大きく一回深呼吸をする。選んだ題材を一気に書き上げる。それを何枚か何十枚かまた書き始める。すると、どんどん欲が出てくる。もう少し、ここら辺をこう書きたい。墨の色の濃淡、陰陽。思うようにいかない、結局何十枚書いても、最初の一枚より以上のものは、なかなか書けないものだ。何も考えず、無 いえ、素 になった時、創めて観て頂けるものが出来上がる気がする。納得がいく完成品は未だ未だ・・・・・・だ!
硯は不思議な力を持っている。静かに墨を磨る、そしてすばらしい書そのものを生み出す。母親が子供を産みだす時の 一息、呼吸に書道の原初の原点が在るのではないだろうか?今は、書が持つパワーとエネルギーに魅せられ、来年の題材探しをしながらこつこつと地味な手紙文などに勤しんでいる。
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