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リレーエッセイ5月 essay

隊長!会いに来ました                       杉田 成


 昨年11月15日、4人の教え子達が北海道・千葉・神戸・岡山からはるばるやってきてくれました。約50年振りの再会でした。
 私は昭和44年1月埼玉県朝靄市の「陸上自衛隊婦人自衛官教育隊」の教官として第1期生として入隊して来た彼女達と出会いました。全国から選ばれた18才から25才までの55人は、それぞれに個性もつよく、しかし、しっかりと自立していて、好奇心一杯、なにより陸上婦人自衛官(愛称‘WAC')のレールを敷いて行くのは自分達だという自覚もあり、私自身も真剣に向き合うことが出来ました。
 5ヶ月の基本過程終了と同時にこの55人を連れて熊本の健軍駐屯地に着任しました。熊本県出身者は4人のみ彼女達の最初の試練は熊本弁だったと今では笑い話になっています。総務・会計・通信とそれぞれの職域で一歩一歩確実に大きな足跡を残してくれました。当初女なんか、女のくせにと大迷惑で仕方なく受入れてくれた職場でしたが、半年もすると、うちの○○はと自慢されるほどにしっかりとその地位を確保していました。
 11月16日にはそんな懐かしの健軍駐屯地を訪ねました。改装はされていましたがWAC隊舎は昔のままに迎えてくれました。鉄製の二段ベッド・硬いマットレス・OD色の毛布を前に今年古希を迎える彼女達は二十歳の乙女にもどっていました。「あっ!ここ、隊長室でしたよね。隊長に叱られて大泣きしました。でも、そのことがあって幹部になり定年まで勤務出来ました。」と言ってくれました。
 彼女達の28才の私に対する要求はただ一つ「いつも尊敬出来る女性であってほしい。」考えてみると一番難しい課題でした。でも、このことが以後の私を育ててくれたと感謝しています。昭和49年34才で海上自衛隊に婦人自衛官制度を創設するという任務をいただき海上自衛官としてWAVE(海上婦人自衛官の愛称)の人事・教育等制度発足させ育てていくという重要な仕事を楽しくまっとうすることができました。今年WAVEの一等海左が三隻の護衛艦を率いる「護衛隊群司令」に着任したとTVニュースが流れました。女性が活躍する時代と言われていますが43年前にはこんなに早くそんな時代が来るとは考えもしませんでした。
 一つ一つの仕事の中でいまの私に彼女達は「OK!大丈夫尊敬します。」と言ってくれるだろうかと反復しながら取組んでいたように思います。
 「隊長!会いにきました。」そんな彼女達に出会えたこと、私はなんと幸せ者でしょう。

     




 国際ソロプチミスト熊本−すみれ

<例会日>
 毎月第3木曜日 午前10時〜
<例会場>
 ANAクラウンプラザホテル
     熊本ニュースカイ

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