背中に窓越しの陽を受けて、幼い子をひざに、絵本を読む。身も心もぽかぽかとあたたかくなるひとときだ。
30数年前、子どもが幼稚園に入園してすぐの頃、家庭文庫にお誘いを受けた。お話会や読み聞かせでたくさんの絵本に出会った。図書館にもずいぶんお世話になったものだ。悩み多き未熟な母親だった私は、絵本からたくさん力をもらったと思っている。
子どもが小学生のころまで、寝る前にはいつも絵本を読み聞かせた。子どもは読み聞かせをやめてずいぶん経った思春期の頃も時々絵本を手にしていた。絵本の中の印象的なワンフレーズを言い合ったりすることもあった。共有するものがあること、が嬉しかった。
少しずつ増えた絵本を、私はずっと大切にしてきた。
子どもが巣立ち、しばらく出番のなかった絵本も数年前からふたたび大活躍となっている。裏表紙裏に、日付けと「○○、4歳のお誕生日に」とか「○○、年長さんになる」とか書いているのに出会うと懐かしい。
ずっと読み次がれた絵本をこの子らも次の世代へ渡して行ってくれたらと思う。幼い人達が心豊かに生きていける世の中が続いてくれますようにと願いながら、裏表紙を閉じる。「おしまい」というと「もいっかい」の声。リクエストに答えて又表紙にもどる。