瞳を見た 濃いまつげに囲まれた深い瞳だった
柔らかい声で口ずさむ ゆるやかな身のこなし
歌声はエンドレスに響き 風を呼び起こす
ビルの谷間のせまい空間は 群青色に包まれていった
夢を見た いつもは見ない母の夢
母はやさしい穏やかな笑顔だった
母のぬくもりを 肌に感じた
なにをしてるの 母の唇が動いた
お父さんに会った
ほんの一瞬の出来事が呼び起こす なつかしい思い
とおく太古より連綿と続いてきた もの
空気 水 大地 そして 人 ふるさと
吹き抜ける風に身をまかせ 声は静寂に溶け込んでゆく
天空にぽっかりと白い月が浮かんでいた