秋の交通安全運動が始まった9月21日の夜1本の電話が鳴った。
「NHKのニュース見ましたよ! 今年も貴女の子供、頑張ってますね。」
「子供ですか?」
「貴女の作った『飲酒運転撲滅音頭〜飲んだら乗るな』ですよ。県警が交通安全運動の出発式で使っていましたよ。」
私は、熊本県警を昨年、定年退職した。長年勤務する中で、いつも心を痛めていたのが飲酒運転に起因する交通事故であった。最近は、取締りが厳しくなり発生件数こそ減ってきたが、大事故につながる飲酒事故は後を絶たない。取締りを強化するのも大事だが、その前に防止をすれば悲惨な事故は防げるのではないか。そのためには、子供の頃からの教育や地域住民への自然な形での浸透が大事ではないかと思っていた。
そこで、思いついたのが「音頭」だった。調子良い響きで、子供からお年寄りにまで親しまれ、お父さんがちょっと一杯飲んでハンドルを握ろうとした時、「お父さん、飲酒運転だめですよ。」とさりげなく言えるような意識づけに繋がればよいと思ったのだ。
何より大事なことは、事故に対する処分より、まずは事故を起こさないこと。
試行錯誤の上、歌詞と曲を作り、歌は最高級の声の持ち主に、お囃子は民謡日本一の方にお願いし、踊りもつけて、CDとDVDが完成した。完成直後は「英太郎のかたらんね」という番組に取り上げられたり、県立劇場での「ふれあい県民フェスタ」という大きなイベントにも出させていただいたりした。そして、今もこうして県警の交通安全運動や夏祭りなどにも時々使っていただいていることに感謝している。
現在、私は仕事をしながら、全くの畑違いではあるが、地震の被害を受けた益城町で災害FMのアナウンサーをし、町や県からの情報を発信している。
微力ではあるが、これからも不特定多数の誰かのために、少しでも役に立てるようチャレンジしていきたいと思う。
「英太郎のかたらんね」出演 左から2番目 「県民ふれあいフェスタ」出演 後列一番左
製作した飲酒運転撲滅音頭のCDとDVD
*作成したCDとDVDは無料で配布しています。興味のある方はどうぞお声かけください。