もう20年位前の事ですが、今もありありとその情景を思い出して心が冷えます。
当時、毎週日曜日には主人と地図を見ながら登山していました。
一時期、冬山の銀世界に魅せられ、雪の久住の山頂に一度立ちたいと市内でも雪の舞う日牧ノ戸峠よりアイゼンを着けて登った。かなりの数の登山者がいて、皆で登れば怖くないの気持ちで写真を撮りながら気楽に登った。しかし風が強くなり吹雪の様相となってきた。とにかく山小屋で昼食にしようと頑張って山小屋にたどりついた。中は何もかもカチカチに凍っていて雪も降り込み、雪の上に座って何か口に入れねばと、冷たいオニギリをお湯で流し込んだところで、胸が苦しくなり、「気持ち悪い」と言って、主人にもたれかかったまま、スーっと・・・・・・・・・・・・
遠くの方から、何かが聞こえてくる。 ねるな! ねるな! 手をこすれ!
背中をこすれ! 足の方も! あっ、気を失っていたんだ!
皆して私をもみくちゃにしている。 気がついたぞ! そこのウィスキーを飲ませろ!
たて続けに、3杯 お湯割りのウィスキーを流し込まれた。
正気になり、皆さんにお礼を述べた。 私の上にはテントが張られ、数個のバーナーが焚かれ、10人位の人たちが、私を介抱して下さっていた。古井町山の会の一行だった。倒れる前に、男性パーティーが山小屋に入って来られたが、その方たちだった。
私達は直ぐ下山したが、ウィスキーのせいで、いい気分で帰った。
あとで現像した写真を見て驚いた。私の顔には気味の悪い死相が漂っていた。
雪女に目を付けられていたのではないかしら。 写真は全部焼却した。
新聞記事にならなくて良かった。