12月になりカレーの匂いが流れてくると、なぜか子どもの頃のクリスマスが思い出されます。戦後の1951(昭和26)年、6年生の私を頭に幼稚園児まで10人の子どもたちにとってクリスマスは1年で一番楽しいイベントでした。
電気を消して、お菓子の銀紙で包まれたコップに立てられた母手作りの仏様用のローソクに明かりを灯し、母のお祈りと「きよしこの夜」、皆んな神妙に聞きながら心の中では早く終わらないかなー。セレモニー終了。さあゲーム大会です。母は子ども達を喜ばせる天才でした。障子の桟に鉛筆、消しゴム、ノート等なかなか買ってもらえない時代の文房具を隠しての「宝さがし」、見つけるたびに子ども達の歓声が上がり、見守る親達にも笑いが溢れていました。
最後は天井から吊るされた大きな「新聞の袋」をじゃんけんで負けた子が目隠しをしてスイカ割りならぬ「袋」割り、破れると中から色とりどりのキャンディやチョコレートが飛び出してきます。我先にと拾いチョコレートが少なくてがっかりしたものでした。
いよいよディナー。母が前日から煮込んだ大きな鍋いっぱいのカレー。でも10人の子どもと一緒に大笑いした親達でアッと言う間に完食でした。当時のお肉は缶詰の「大和煮」クジラだったと思いますが今でも忘れられないほどの大ご馳走のカレーでした。
2003(平成15)年のクリスマスまで調味料や肉の質が格上げされても50年余の歳月を母の愛情いっぱいのクリスマスディナーとしてのカレーは心の中に暖かく息づいています。
クリスチャンの母親に連れられて通った教会でしたが距離をおいて50余年、2012(平成24)年受洗、マルタとして歩き出しました。天国の母も喜んでくれていると思っています。
1955(昭和30)年12月25日 高校1年の頃(右ハシ)